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労働者(常用、日雇、パート、アルバイト、派遣等)に関する相談事例集

年次有給休暇の付与日数と消滅時効part

10.年次有給休暇の付与日数と消滅時効

年次有給休暇の付与日数と消滅時効

CASE1 パートタイム労働者の有給休暇は何日?
年次有給休暇の付与日数と消滅時効

相談内容
私は、1年契約で更新ありのパートタイム労働者です。これまで2回契約が更新されています。
入社時点から通算すると、現在、勤続2年11ヶ月目です。
週5日勤務で、1日の所定労働時間は7時間です。
このたび、私は、契約更新せず、期間満了で退職しようと考えています。
今季の年次有給休暇の残日数は、前期からの繰越を含めて15日だと思います。
しかし、使用者は、契約更新に際して前期に発生した有給休暇は消滅しているので、今期に発生した12日分しか有給休暇を認めないと言っています。
どうすればいいでしょうか?

相談者は 労働者数約10名(非正規雇用労働者を含む)小売業(仕出し、弁当)の調理補助(有期契約労働者)です。

非正規雇用労働条件改善指導員が行った指導・助言内容
(店長が労務管理に関する権限を有していなかったことから、本社の総務担当者に対して、以下のとおり指導した。)
@ 有期契約の労働者であっても、週5日以上勤務又は1週30時間以上労働させている場合には、一般の労働者と同じ日数の年次有給休暇が発生します。
A 年次有給休暇が発生した当該年度中に行使されなかった権利は、次年度に繰り越されます。
B 年次有給休暇は、2年間行使しない時は、時効によって消滅します。
C 有期労働契約が更新され、実質的に労働関係が継続している場合は、更新時点で有給休暇が消滅するのではなく、有給休暇の残日数は繰り越されるものと解されます。

改善結果
@ 総務担当者は理解し、15日の年次有給休暇の取得を認めることを約束した。
A 総務の責任者が、店長会議で各店長に対して今回の事例を説明し、同様のトラブルが生じないように全社的に徹底した。

解説・参考例 (年次有給休暇について(労働基準法第39条))
(1) 労働基準法は、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るため、また、ゆとりある生活の実現にも資するという位置づけから、休日の他に毎年一定日数の有給休暇を与えることを規定しています。 年次有給休暇の付与要件は、6か月以上継続勤務し、所定労働日の8割以上を出勤することで、この要件を満たした労働者には、最低10日間の年次有給休暇を付与しなければなりません。その後、勤続年数が増えていくと、8割以上の出勤の要件を満たしている限り、1年ごとに取得できる休暇日数は増えていきます。

週所定労働日5日以上または週所定労働時間30時間以上の場合
勤続年数 6か月 1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月以上
付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

(2) アルバイトやパートタイム労働者であっても、6か月間の継続勤務、全労働日の8割以上の勤務、週5日以上の勤務という3つの要件を満たせば、正社員と同じ日数の年次有給休暇を付与しなければなりません(週4日以下の勤務であったとしても、週の所定労働時間が30時間以上であれば、正社員と同じ日数の有給休暇を付与しなければなりません)。
また、所定労働日が4日以下で、かつ、所定労働時間が30時間未満の短時間労働者であっても、以下のとおり、その所定労働日数に応じた日数の年次有給休暇が認められます(労働基準法第39条第3項・労働基準法施行規則第24条の3)。

週所定労働日4日以下かつ週所定労働時間30時間未満の場合
週所定
労働日数
年間所定
労働日数
6か月 1年
6か月
2年
6か月
3年
6か月
4年
6か月
5年
6か月
6年6か月以上
4日 169〜216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121〜168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73〜120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48〜72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

(3) なお、継続勤務か否かについては、勤務の実態に即して実質的に判断すべきものとされており、日雇又は短期労働契約の労働者であっても、その実態から見て引き続き使用されていると認められる場合には、勤続年数が加算されます。また、年次有給休暇は、2年間行使しない時は、時効によって消滅します(労働基準法第115条)。

以上は
年次有給休暇の付与日数と消滅時効

年次有給休暇の付与日数と消滅時効
の内容をご紹介させていただきました。

続きの→11.年次有給休暇とその明示を見てみる。

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