時間外労働の有無等の明示
CASE2 「残業なし」って言ったのに・・・!
時間外労働の有無等の明示
相談内容 私は、約4か月前に派遣労働者として採用され、他の企業に事務職員として派遣されています。
残業をしなくてよいことを労働条件として入社したはずなのに、働いてみると毎日2時間、月50時間の残業があり、子どもの養育に支障を来たしています。
派遣元の支店担当者に相談したのですが解決しないので、本社に相談したところ、「支店担当者が了解したかもしれないが、口頭でのやり取りであり、関係ない。残業ができないようでは困る。嫌なら辞めていい。」など、一方的で、かつ誠意がない対応をされました。
口頭でも約束は約束であり、このような労務管理を改めるようにしてほしいです。
相談者は 労働者数約170名(非正規雇用労働者を含む)の派遣業で働く派遣労働者です。
非正規雇用労働条件改善指導員が行った指導・助言内容
@ 明文化されていなくとも契約は有効であり、遵守すべきものです。 労働基準法では、使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示(一定の事項は書面の交付が必要)しなければならないことになっています。
A 「辞めていい」という発言は、退職勧奨と受け取られかねません。真に退職を促す意思がなければ、不用意に言わないほうがよいです。
B 派遣元労務管理担当者は、本件の解決及び今後の同種事案の再発防止のため、派遣労働者に対して、時間外労働の有無や時間数等について丁寧に説明するようにしてください。
改善結果
@ 派遣元の本社担当者と派遣先と相談者の三者で話し合いを行った結果、次の通りとなった。
(ア) 派遣元本社担当者は、退職勧奨の意思は無かったとして、発言を撤回した。
(イ) 残業は極力行わせないこととし、残業を行わせる場合でも最大で30分間とすることとした。
A @の話し合いの内容に沿った労働条件通知書を交付した。
B また、労働条件をより明確にするために、派遣会社の雇用契約書には、可能な限り、最大の時間外労働時間数を記載することとなった。
解説・参考例 非正規雇用の労働者の中には、家庭の事情等により、時間外労働が一定時間以上できない方が少なくありません。そのため、労働契約締結時に時間外労働の有無だけでなく、時間数を明示しておくと、トラブルの防止に役立ちます。
【時間外労働の有無等に関する労働条件通知書記載例】
○所定時間外労働の有無: 有
(有の場合): 1日○時間を限度とする。 派遣労働者の日常の勤務時間等の管理は派遣先が行いますが、労働時間等の枠組みの設定は派遣元事業主が行うため、派遣先が派遣労働者に時間外労働や休日労働を行わせるためには、派遣元事業主が適法な時間外・休日労働の協定(36協定)の締結・届出等を行っておかなければなりません。
【派遣元と派遣先における労働基準法の労働時間に関する適用関係(抄)】
4頁の表を作成のこと
以上は
と
の内容をご紹介させていただきました。
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3.雇止めの理由を見てみる。