就業規則と労働条件通知書
CASE2 パートタイム労働者の労務管理はどうしたらいいか?
就業規則と労働条件通知書
相談内容
最近、パートタイム労働者の採用が増えた結果、労働時間、賃金等について様々な要望があり、現在の就業規則では対応が難しくなってきました。
また、季節によって繁閑の差が大きいので、労働時間をどのように決め、パートタイム労働者とどのように契約していいか分かりません。
アドバイスをお願いします。
相談者は 労働者数約30名(うち非正規雇用労働者数7名)の菓子の製造・販売業の取締役統括部長です。
非正規雇用労働条件改善指導員が行った指導・助言内容
@ 現状に合ったパートタイム労働者用就業規則と労働条件通知書の作成が必要です。
A パートタイム労働者については、パートタイム労働法により、雇入れの際に、「昇給の有無」、「退職手当の有無」及び「賞与の有無」について文書の交付などによる明示が義務付けられています。
B 季節による繁閑に対応するため、1年単位の変形労働時間制の導入について、検討されてはいかがでしょうか。
改善結果
@ 相談者である取締役統括部長から指示を受けた総務課長は、パートタイム労働者用就業規則の必要性を理解し、これを作成して、労働者代表の意見書を添付して、所轄労働基準監督署長に届け出た。
A パートタイム労働者用就業規則を労働者の見やすい場所に備え付けるとともに、昇給・退職手当・賞与の有無などパートタイム労働者ごとに個別に決める内容は労働条件通知書で明示するようにした。
B 1年単位の変形労働時間制を採用する旨を就業規則に盛り込むとともに、労使協定を締結して所轄労働基準監督署に届け出た。
解説・参考例 (一部の労働者にのみ適用される就業規則について) 同一事業場において、労働基準法上の差別的取扱いに該当しない限りにおいて、一部の労働者についてのみ適用される就業規則を作成することは差し支えありません。この場合は、就業規則の本則において当該別個の就業規則の適用の対象になり得る労働者に係る適用除外規定又は委任規程を設けることが望ましいといえます。なお、別個の就業規則を定めた場合には、当該2以上の就業規則を合した者が労働基準法第89条の就業規則となるのであって、それぞれ単独に同条に規定する就業規則となるものではありません。(昭和63年3月14日付基発第150号、平成11年3月31日付基発第168号)
(パートタイム労働者への労働条件の明示) 労働基準法では、労働契約の締結に際し、賃金、労働時間その他の労働条件について、明示することとされています。これに加え、パートタイム労働者については、パートタイム労働法により、「昇給の有無」も文書の交付などにより明示することとされています。(パートタイム労働法第6条、同法施行規則第2条第1項)
(1年単位の変形労働時間制とは(労働基準法第32条の4)) 1年単位の変形労働時間制とは、一定の要件の下、一定の期間(1か月を超え1年以下)を平均して、1週間の労働時間が40時間を超えない範囲で、特定の日の労働時間が8時間を超えたり、特定の週の労働時間が40時間を超えて労働者を労働させることができる制度です。この制度は、業務の忙しい時期と比較的暇な時期とに応じて、労働時間をあらかじめ配分し、一定の期間を平均して法定労働時間の範囲内に収め、全体で労働時間を短縮することを狙いとするものです。1年単位の変形労働時間制を採用するには、就業規則にその旨を記載するとともに、労働者の過半数を代表する者等との間で労使協定を締結して所轄労働基準監督署長に届け出る必要があります。詳しくは
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/henkei.html のURLをご覧ください。
なお、変形労働時間制には、1年単位の変形労働時間制の他に、1か月単位の変形労働時間制、フレックスタイム制、1週間単位の非定型的変形労働時間制があります。
以上は
と
の内容をご紹介させていただきました。
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