訪問調査で、訪問調査員(認定調査員)が、対象者に聞き取り調査をして、前頁の基本調査をするわけなのですが、基本調査の選択肢を選んだ理由や、あるいは判断に迷った時の理由などを記入する書類が特記事項と呼ばれるものです。 具体的には、次のような内容の書類に訪問調査員(認定調査員)が書き込むことになります。
認定調査票(特記事項)
1 身体機能・起居動作に関連する項目についての特記事項
1-1 麻痺等の有無,1-2 拘縮の有無, 1-3 寝返り, 1-4 起きあがり, 1-5 座位保持, 1-6 両足での立位, 1-7 歩行,
1-8 立ち上がり, 1-9 片足での立位, 1-10 洗身, 1-11 つめ切り, 1-12 視力, 1-13 聴力
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2 生活機能に関連する項目についての特記事項
2-1 移乗,2-2 移動,2-3 えん下,2-4 食事摂取,2-5 排尿,2-6 排便,2-7 口腔清潔, 2-8 洗顔, 2-9 整髪, 2-10 上衣の着脱, 2-11 ズボン等の着脱, 2-12 外出頻度
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3 認知機能に関連する項目についての特記事項
3-1 意思の伝達,3-2 毎日の日課を理解,3-3 生年月日を言う,3-4 短期記憶, 3-5 自分の名前を言う, 3-6 今の季節を理解,
3-7 場所の理解, 3-8 徘徊, 3-9 外出して戻れない
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4 精神・行動傷害に関連する項目についての特記事項
4-1 被害的,4-2 作話,4-3 感情が不安定,4-4 昼夜逆転,4-5 同じ話をする,4-6 大声を出す,4-7 介護に抵抗, 4-8
落ち着きなし, 4-9 一人で出たがる, 4-10 収集癖, 4-11 物や衣類を壊す, 4-12 ひどい物忘れ, 4-13 独り言・独り笑い,
4-14 自分勝手に行動する, 4-15 話がまとまらない
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5 社会生活への適応に関連する項目についての特記事項
5-1 薬の内服,5-2 金銭の管理,5-3 日常の意志決定,5-4 集団への不適応,5-5 買い物,5-6 簡単な調理
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6 特別な医療についての特記事項
6 特別な医療
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7 日常生活自立度に関連する項目についての特記事項
7-1 障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度), 7-2 認知症高齢者の日常生活自立度
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※ 本用紙に収まらない場合は、適宜用紙を追加して下さい
はっきりと言います。
特に初心者(介護認定・要介護認定をはじめて申し込むような人のことです)は、この特記事項が大きなポイントです。
国や行政側は、困っている人は、すべて救いたい、と言っています。
しかし、現実的には、本人や家族が希望するような介護保険サービス内容を受けることが出来る人ばかりかといえば、そうではありません。
平成9年に施行された介護保険法による要介護サービスは、2000年4月にスタートしました。
はじめの頃は、希望する介護保険サービスを受けることができる人が、ほぼ100%だったのです。
しかし、今現在は、希望する介護保険サービスを受けることができる人の割合は、年々下がっています。
当たり前です。 介護保険サービスを希望する人が増える割合に、そのために国や自治体が支出するお金がおいついていない訳ですから・・・。
具体的な数字については、「
介護・高齢者福祉」の文字を左クリックしてご覧になるとよくおわかりだと思っています。
ですから、この
難聴の介護保険のサイトをご覧になっている方々には、少しでもご自身の希望する要介護サービスや要支援サービスを受けることが出来るようになっていただきたいと思っています。
コツをいくつかご紹介します。
訪問調査員(認定調査員)が、訪問調査にこられた時には、
1、申請者一人で対応しない。
2、事前に普段の生活で困っていることをまとめたメモや文書を用意しておく。
3、訪問調査員(認定調査員)のすすめる事業所との契約を安易にしない。
の3点をまずは、守って下さい。
理由をご説明します。
一つ目の、「申請者一人で対応しない」という内容は、 申請者一人での対応ならば、訪問調査員と向き合っているときには、良い意味での緊張感などで、
普段は、しないことや、できないことでも、「ついやってみせたり、できてしまったり」 することがあります。
具体的に言えば、めったにしない部屋の掃除なども、訪問調査員が来るからと言って、 部屋をきれいにしておく。 これは、清掃が自分でできる→「自立」と判断されます。
清掃をするのがつらいから、ホームヘルパーの方に来て頂いて、部屋の清掃を 1週間に何回かしていただくのに、1年にたった1回か2回の訪問調査の時に、せっかく訪問してもらうのだから、少しでもきれいにしておこう、という配慮で、普段はしない清掃をしたばっかりに、「一人で清掃ができる」と判断されては、このさきも、ずっとご自身で清掃をしなければいけません。
できることを、できないと嘘をつくことはダメですが、 できないことを、「できる」と言う必要もありません。
ただ、ある程度以上の高齢者の方は、どうしても、「プライド」のために、 実情よりも、身体の状態を良く見せようと無意識に行動しがちです。
ご家族やその他の方がいれば、「今はこうしていますが、普段は・・・」と、 本当の姿を冷静に第三者の目で訪問調査員(認定調査員)に説明することが出来ます。
二つ目の、「メモや文書」については、人間というものは、どうしても、 「ついうっかり」伝えたいことの一つや二つは、忘れるものです。
ましてや、要介護認定・要支援認定のために訪問してもらっている という緊張感の中では、本当は色々と伝えたいことがあったのに、 いざ、訪問調査員(認定調査員)を目の当たりにすると、
なかなかスムーズには、言い出せないものです。
そこで、何日か前から、メモや文書を用意しておくと、いざとなったら、 そのメモや文書を手渡して読んでもらうこともできます。
基本調査の質問項目だけでも、かなり多くの項目があります。 それを訪問時間としては、平均して30分〜1時間以内で、 訪問調査員(認定調査員)の人は、まとめていくわけです。
必ず、事前にメモや文書を用意しておきましょう。
3つ目の「すすめる事業所」とは、今は露骨な勧誘は少なくなったのですが、 訪問調査員(認定調査員)として市区町村からケアマネジャーが訪問する場合が多いです。
ケアマネジャーが所属している居宅介護支援事業所は、ホームヘルプサービスなど他の介護保険サービス提供事業所に併設されていることが多いです。
場合によっては、訪問調査員として訪ねているのに、自分が所属している事業所のサービスを利用するよう進めるケースもあると聞きます。 実際に、すすめた事業所を利用すれば、そのケアマネジャーも、儲かるのですから「ウハウハ」ですね。
訪問してもらっている側としては、そんな人に当たったら、あきらめて下さい。
あきらめることも肝心です。 働く人の立場から介護保険制度を見たとき、最大の問題は賃金が安いことです。 生きるために少しでもお金を稼ぎたいと思うのは、誰にでもわかる原理ですから・・・。
どうしても、あきらめたくない方は、本当にその訪問調査員(認定調査員)とは関係のない第三者に相談をして下さい。
ワンポイントアドバイス
上記の特記事項を書くか書かないかのもとになる基本調査の質問内容は次の通りです。
★基本調査
調査日 年 月 日 保険者番号 被保険者番号
認定調査票(基本調査)
1-1麻痺等の有無について、あてはまる番号すべてに○印をつけてください。(複数回答可)
1.ない 2.左上肢 3.右上肢 4.左下肢 5.右下肢 6.その他(四肢の欠損) |
1-2関節の動く範囲の制限の有無について、あてはまる番号すべてに○印をつけてください。(複数回答可)
1.ない 2.肩関節 3.股関節 4.膝関節 5.その他(四肢の欠損) |
1-3寝返りについて、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
1.つかまらないでできる 2.何かにつかまればできる 3.できない |
1-4起き上がりについて、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
1.つかまらないでできる 2.何かにつかまればできる 3.できない |
1-5座位保持について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
1.できる 2.自分の手で支えればできる 3.支えてもらえばできる 4.できない |
1-6両足での立位保持について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
1.支えなしでできる 2.何か支えがあればできる 3.できない |
1-7歩行について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
1.つかまらないでできる 2.何かにつかまればできる 3.できない |
1-8立ち上がりについて、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
1.つかまらないでできる 2.何かにつかまればできる 3.できない |
1-9片足での立位保持について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
1.支えなしでできる 2.何か支えがあればできる 3.できない |
1-10洗身について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
1.介助されていない 2.一部介助 3.全介助 4.行っていない |
1-11つめ切りについて、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
1-12視力について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
1.普通(日常生活に支障がない)
2.約1m離れた視力確認表の図が見える
3.目の前に置いた視力確認表の図が見える
4.ほとんど見えない
5.みえているか判断不能 |
1-13聴力について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
1.普通
2.普通の声がやっと聴き取れる
3.かなり大きな声なら何とか聴き取れる
4.ほとんど聴こえない
5.聴こえているのか判断不能 |
2-1移乗について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
1.介助されていない 2.見守り等 3.一部介助 4.全介助 |
2-2移動について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
1.介助されていない 2.見守り等 3.一部介助 4.全介助 |
2-3えん下について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
2-4食事摂取について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
1.介助されていない 2.見守り等 3.一部介助 4.全介助 |
2-5排尿について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
1.介助されていない 2.見守り等 3.一部介助 4.全介助 |
2-6排便について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
1.介助されていない 2.見守り等 3.一部介助 4.全介助 |
2-7口腔清潔について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
2-8洗顔について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
2-9整髪について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
2-10上衣の着脱について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
1.介助されていない 2.見守り等 3.一部介助 4.全介助 |
2-11ズボン等の着脱について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
1.介助されていない 2.見守り等 3.一部介助 4.全介助 |
2-12外出頻度について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
3-1意思の伝達について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
1.調査対象者が意思を他者に伝達できる
2.ときどき伝達できる
3.ほとんど伝達できない
4.できない |
3-2毎日の日課を理解することについて、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
3-3生年月日や年齢を言うことについて、あてはまる番号に一つだけ○をつけてください。
3-4短期記憶(面接調査の直前に何をしていたか思い出す)について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
3-5自分の名前を言うことについて、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
3-6今の季節を理解することについて、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
3-7場所の理解(自分がいる場所を答える)について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
3-8徘徊について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
3-9外出すると戻れないことについて、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
4-1物を盗られたなどと被害的になることについて、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
4-2作話をすることについて、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
4-3泣いたり、笑ったりして感情が不安定になることについて、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
4-4昼夜の逆転があることについて、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
4-5しつこく同じ話をすることについて、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
4-6大声を出すことについて、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
4-7介護に対抗することについて、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
4-8「家に帰る」等と言い落着きがないことについて、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
4-9一人で外に出たがり目が離せないことについて、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
4-10いろいろなものを集めたり、無断でもってくることについて、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
4-11物を壊したり、衣類を破いたりすることについて、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
4-12ひどい物忘れについて、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
4-13意味もなく独り言や一人笑いをすることについて、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
4-14自分勝手に行動することについて、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
4-15話がまとまらず、会話にならないことについて、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
5-1薬の内服について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
5-2金銭の管理について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
5-3日常の意思決定について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
1.できる 2.特別な場合を除いてできる 3.日常的に困難 4.できない |
5-4集団への不適応について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
5-5買い物について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
1.できる 2.見守り等 3.一部介助 4.全介助 |
5-6簡単な調理について、あてはまる番号に一つだけ○印をつけてください。
1.できる 2.見守り等 3.一部介助 4.全介助 |
6過去14日間に受けた医療について、あてはまる番号すべてに○印をつけてください。(複数回答可)
処置内容 1.点滴の管理 2.中心静脈栄養 3.透析 4.ストーマ(人工肛門)の処置
5.酸素療法 6.レスピレーター(人工呼吸器) 7.気管切開の処置
8.疼痛の看護 9経管栄養
特別な対応 10.モニター測定(血圧、心拍、酸素飽和度等) 11.じょくそうの処置
失禁への対応 12.カテーテル(コンドームカテーテル、留置カテーテル等) |
7日常生活自立度について、各々該当するものに一つだけ○印をつけてください。
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度) |
正常・J1・J2・A1・A2・B1・B2・C1・C2 |
認知症高齢者の日常生活自立度 |
正常・T・Ua・Ub・Va・Vb・W・М |
以上の基本調査で、その選択肢を選んだ理由で、特に意味のあるもの、あるいは、選択肢を選ぶのに迷った内容などは、特記事項という別紙に訪問調査員(認定調査員)が書き込むことになります。
続きの→
9.かかりつけ医意見書とは?を見てみる。