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旧優生保護法下、不妊強制、聴覚障害者の涙

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旧優生保護法下、不妊強制、聴覚障害者の涙

旧優生保護法下、不妊強制、聴覚障害者の涙



旧優生保護法下 不妊強制 聴覚障害者の涙

旧優生保護法(1948〜96年)の下、不妊手術を受けさせられた聴覚障害者の夫婦と妻が、神戸新聞社の取材に応じ、当時の心境や今の思いを語った。社会の強い偏見にさらされ、肉親に手術を強いられた心の傷は、半世紀以上たっても癒えることはない。(田中陽一、田中宏樹)



神戸の夫婦「結婚の条件」知らされず



「意味が分かっていたら、あんな手術は受けなかった」。神戸市内の男性(79)と妻(77)は、悔しそうに手話で訴えた。
2人が結婚したのは68年4月。神戸ろうあ協会での出会いがきっかけだった。夫は神戸出身で当時29歳。妻は故郷・島根で覚えた裁縫技術を生かし、神戸の洋裁店で働く27歳だった。

ともに聴覚障害があり、それぞれの父親が秘密のうちに決めた「結婚の条件」が不妊手術だった。男性は目的を聞かされないまま病院に連れていかれ、その日のうちに手術が行われたという。以来、誰にも打ち明けずに夫婦で支え合ってきた。

当時は同法に基づき、障害者らへの不妊手術が全国で行われていた。兵庫県の「衛生統計年報」によると、男性が手術を受けたとみられる68年に、25〜29歳で強制手術を受けたのは県内で「1人」。この1人が男性かどうかは分からない。当時は法律に基づかず、強制された手術も「かなりあったのではないか」と男性は推測する。

手術があったのは結婚の数カ月前。父親同士が「子どもは産まない方がいい」と合意したという。男性は前触れもなく、母親に連れられ近くの病院へ。そこで手術を受けることを知ったが、内容を理解したのは術後だった。「無力で何もできなかった」と振り返る。

女性も何も知らされておらず、男性から事象を聴いて「涙が出た」。しかし、父親に理由をただすことはできなかった。父親は地元のろう学校のPTA会長を務めていたが、「不良な子孫の出征を防ぐ」という国の考えは学校でも根強く、「父親も影響されたのでは」と考えている。

男性は製造大手の下請け工場で定年まで働き、女性は区役所への手話通訳者配置を求める活動などに力を注いだ。2人で海外旅行も楽しんだ。

笑顔も交えて思い出話をしていた女性の表情が一度だけこわばった。「結婚前、何人ぐらい子どもを産みたかったですか」と尋ねたときだ。「答えようがない…」。きつく目を閉じて首を振る姿に、悔しさがにじんだ。

「人間に優劣をつけるなんて」。男性もそう憤り、同じ過ちが繰り返されないよう「(手術を受けた人が)もっと声を上げられるようになれば」と願う。




洲本の女性 子を抱く夢「壊された」



聴覚障害者にも配慮した特別養護老人ホーム「淡路ふくろうの郷」(洲本市)に暮らし、3年前に85歳で亡くなった勝楽進さんも不妊手術を強いられた一人だ。生前、同ホームの協力を得て「自分を語る」と題した自伝を残していた。

手術を受けさせられたのは、同じく聴覚障害のある妻佐代子さん(88)と結婚した1960年ごろ、30歳のときだった。父親の指示を受けた弟に言われ、何も知らずに病院に行った。自伝には、当時の経緯や心境が克明に記されている。

「(病院では)すぐに手足を縛られ、手術台に乗せられました」「子どもを産んで楽しい生活を夢見ていたのに、その夢は壊れました」。そして「父を断種にかりたてた社会は間違っています」とも。

しばらくして、夫婦は空き瓶を布で飾った人形を作り始めた。進さんにとっては「子どもの代わり」。気が付けば50体に増えていた。

「本当は子どもがほしかった、子どもを抱きたかった…」「私はその経験をあっけなく奪われ、強い憤りにさいなまれ、ただただ我慢を強いられた」。自伝には悲痛な言葉が並ぶ。

今も同ホームで生活する佐代子さんは「あきらめるしかなかった」と何度も繰り返した。ホームを運営する社会福祉法人の理事長で自伝づくりにも携わった大矢暹さん(70)は「行政を責めたいわけではない。ただ当事者をここまで追い込んだ実態を明らかにしてほしい」と話す。


以上は、私が普段購読している神戸新聞の2018年4月30日(月)26ページに載っていた記事からの紹介です。 私の友人でも、旧優生保護法の被害や影響を受けた人が何人かいます。

私たちは普段は、聴覚障害者の方々の支援を兵庫県神戸市での手話による無料相談会で行っています。

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