BTS休止　韓国芸能界に波紋

BTS休止　韓国芸能界に波紋



BTS休止　韓国芸能界に波紋

世界的人気を誇る韓国の男性音楽グループ BTS(防弾少年団)が、電撃的にグループとしての活動を一時休止する意向を示した。リーダーの RM さんは「K-POP、アイドルというシステム自体が人を成熟させない」と発言。厳しい管理で育成と売り込みを図るK-POP の商業主義に最大のスターが一石を投じ、波紋が広がっている。

「疲れたと言うこと自体が罪を犯すような気になる」「(多忙で)自分が成長できる時間がない」。14日、ユーチューブで公開された動画でRMさんは吐露。韓国メディアは「世界の青春の希望を(デビューから)9年間歌ったアイドルが結局燃え尽きた」と伝えた。

暗黙

韓国でアイドルを目指す若者は10代から芸能事務所と契約。デビューしてもプライバシーが制限される宿舎の共同生活が一般的だ。韓国の「文化社会研究所」の李鐘任(イジョンイム)理事は「人権的に問題のあることが暗黙的に行われている。世界トップのBTSが口にするほど深刻ということだ」と指摘する。政府機関の国家人権委員会は今年4月、芸能界の未成年の労働時間に関し制度改善を勧告した。

BTS の所属事務所が2020年10月に韓国取引所に上場した副作用を指摘する見方も多い。投資が増える分、世界市場での成果が求められ、メンバーが自らしていた作詞作曲を外国人が手がけることも増えた。RMさんは動画で「自分たちがどんなチームなのか分からなくなった」と漏らし、ジミンさんは「アイデンティティーを探す時期に来ていて、疲弊している」と訴えた。

所属事務所は「今後もグループとしての活動は並行する」と説明し、メンバーも充電期間との位置づけを強調するが、当面はソロ活動に重点が置かれる見込みだ。年末には最年長のジンさんが30歳になり、韓国で義務の兵役の入隊期限。全メンバーでの活動は現実的にできなくなる。

原点

音楽評論家の今泉圭姫子(けいこ)さんは、BTSが「等身大のメッセージを伝えるヒップホップグループ」としてスタートした点を重要視。それが英語詞で初の全米1位を獲得した20年の「Dynamite」を機に葛藤を抱えたとみる。その後にメッセージ性の強い韓国語詞で1位をとった「Life Goes On」を彼らが大切にしていることを考えると「今後のソロ活動で創作の引き出しを増やし、自分たちの『原点』に立ち返ろうと考えたのかもしれない」。

一方、K-POP に詳しいジャーナリストの松谷創一郎さんは「BTS は抱えているストレスも含め、自らの思いや意志を素直に表に出している。プロダクション主導で準備されたものをパフォーマンスする日本のアイドルとは違う」と強調。今回の行動そのものが「従来のアイドルの概念を拡大していくBTS ならでは」と話している。(ソウル、東京共同)

K-POP 　韓国のポピュラー音楽。厳しいトレーニングで磨いたハイレベルな歌や踊り、ラップなどで世界中にファンを持つ。韓国政府も経済活性化の起爆剤として積極的に海外進出を後押しする。日本では2003年放送のドラマ「冬のソナタ」から始まった韓流ブームを背景に、男性グループ「東方神起」や「KARA」「少女時代」などのガールズグループが大ブレーク。近年は BTS の他、女性4人組「BLACKPINK」も世界各地のチャートを席巻している。(共同)

以上は、私が購読している神戸新聞2022年6月25日夕刊7ページからの引用です。

こういう話題があるのですね。

そして今は、新型コロナウイルスの影響が早く収束してほしいと願うばかりです。