難聴者という障害者の方のお仕事について
最近強く感じることは就職するまで「働きたい、働きたい、働きたい。」すくにでも働きたい、と言う。
いざ勤め始めると「やめたい、やめたい、やめたい。」と言ってくる。 自分も同じなので人のことは言えない。
障害者の人はわりとカンタンに仕事を辞める傾向がある。 受け入れる会社の大切がととのっていない。
人それぞれ色々な状況、「石の上にも三年」というが、今はそんなことない。 あきらめるときにはあきらめる。
精神障害、うつ病、統合失調症、場合によっては一生治らない。良くなっても何十年とかかる。
先日、そういう精神障害者の集まるセミナー講師をしたときのこと。私から聴衆の皆さんに質問をした「世の中で1番こわいものは何ですか。」 ゆうれい、地震、つなみ、色々ありますが、1番怖いものは何ですか。
35歳の女性は「私にとって世の中で1番こわいのは人間です。人間が1番怖い。」 私もそう思います。 おそらく今までの仕事の中で人間の中に入って大変な目にあい、そのために精神の病気になった。人間はいともカンタンに他人を傷つける。本人がその気でなくても、態度やしぐさ、言葉で他人を傷つける。
おそらく皆さんも今までそんな目に遭ったことでしょう。 でも、その逆も考えて下さいね。皆さんもその気がないのに、他人を傷つけています。
実は私もあるとき窓口で傷つける気もないのに相手にぐさっとささる一言を言ってしまったことがあります。
もう1人男の人から「僕にとって1番こわいのはお金です。」と言われました。 お金はなければこわい、ありすぎてもこわくないですか。 皆さんの貯金が30万円あるとします。
ある日突然コンピューターの故障で0が5つ増えました。30万円のはずなのに300億円となっていました。皆さんはどうされますかね。
私なら気が狂います。 私ならばれない前に現金化しようとします。今は1日に引き出す金額、送金する金額の限度額が決まっているので困った。ばれないうちに現金を手に入れようとします。うまくいって億単位の現金を手に入れると外国に逃げます。
1番目の人は「人間」がこわい。2番目の人は「お金」がこわい。
仕事は1番こわい人間の中に入って1番こわい「お金」のために働くというのが人に使われる仕事というものです。
色々な障害の人が精神的に病んでしまうことが多くなっています。仕事がないと「働きたい、働きたい、働きたい。」仕事が始まると「こわい人間」の中でつぶされていく。耳が聞こえないというそういう状態以上に精神的にタフになる必要がある、いうのが現状です。
数年前のリーマンショック、去年の東日本大震災、最近も中国で反日運動により日本の製品が売れなくなることがありました。 ハローワークに行く精神障害者がどんどん増えています。民間企業が採用するのは身体障害者が多いです。企業は第1希望としては身体障害、第2は軽作業に知的障害者をあてようとしています。最期に精神障害者や難聴者となっています。企業側の理解が少ないです。
企業としては今働いている社員がうつ病を患うことが1番多いです。我が社の社員がうつで大変なのにこれ以上精神障害者を雇えない、という企業が今非常に多いです。
聴覚障害者は現在の状況をきちんと伝えることが非常に大切。
就職面接の際には今できることをアピールすること。今の会社で必要とされていることは「コミニニケーション能力」。 報告・連絡・相談は「報連相ほうれんそう」といって大切なことはわかっていたとしても、聴覚障害者が職場で働き始めたときには、報告しても聞いてくれない、顔を合わせてくれない職場もあるが、負けると仕事が前に進まない。強引でも良いからつかまえて意思疎通をすること。
健聴者側は聴覚障害者に対してどう伝えて良いか、どう指導したら良いかがわからない。解決策は思い切って相手に用件を伝えること。 今、自分が困っていることを伝えることが非常に大切。
・支援機関に相談することも一つの方法。とはいっても、遠慮や会社の雰囲気もある。 聴覚障害者を複数雇っている会社は色々な年代の聴覚障害者が居る。 聴覚障害者の間でもコミュニケーションがうまくとれない。 若い人は口話が出来る。年寄りは口話が出来ない。 若い人はまわりの健聴者の社員と同じような会話が出来る。 年寄りはその会話に入っていけない。 まわりは口話ができる人に慣れて、手話しかできない人のことを忘れる。年寄りは孤立して「私には何も教えてくれない」となる。聴覚障害者の中でも、伝達方法により意思疎通がない。 障害の軽い方、意思疎通が出来る方にまわりは流れていく。障害の重い人には軽い人が伝えてくれると健聴者はかんちがいする。でも、聴覚障害者同士でも軽度が重度に伝えることはなかなかない。中途失聴者は口話が出来ない、手話もできないということで浮いて険悪な雰囲気になることが多い。
健聴者側の本音としては、聴覚障害者はどのように聞こえ、聞こえていないか、どうしたら充分なコミュニケーションがとれるのかなど、根本的なことがわかっていないから、とりあえずできるところはやったではないか、これ以上要求されても無理、という気持ちがどこかにある。健聴者だって悩みをいっぱい抱えて苦労しているのに、これ以上何をしてくれと言うのか、わがまま言わないでくれという思いがどこかにある。それに対し障害者は、例えば仕事のうえで一番ネックとなるのは会議やミーティングである。1対1ならば、声を大きくしてくれとかもっとゆっくり話してと要求できるが、会議では声の大きさはさまざま、速さもさまざま、いちいち聞き返すわけにもいかず、半分も理解できないことが多い。これらのことを皆さんに伝えても次から直るわけではない。言っても分かってもらえないから、言うのもやめてしまう。そうしているうちに健聴者と聴覚障害者とのコミュニケーションに大きな溝ができてしまい、お互いの会話すらなくなってしまう。相手の話したことがリアルタイムで文字として表れるなり、補聴器や人工内耳の性能が格段に進歩してすべての会話が健聴者と同じように聞き取れるようにならない限りなかなか両者の溝は埋まらない。
障害者の賃金は何故こんなに安いのか。 障害者求人の場合は企業としては最初からリスクはとりたくない。 実績・技術・社内でうまくやっていけるか、の3点を考えてあとからつまり採用してから1年後2年後などに賃金見直しでアップ昇給しようと考える。たがら最初は障害者枠での賃金は非常に安い。でも、現実としては最初の安いままで何年も継続雇用されることが多い。だから何年か経ったら再交渉してみる余地がある。
キーパーソンは大事。職場で本人の意思疎通ができる人をつかまえてはなさないようにしてほしい。職場にはキーパーソンをつけてほしいと企業にお願いしている。
キーパーソンも最近上と下との板挟みで大変。 キーパーソンの悩みも聞いてあげるというフォローもしてあげること。 今は精神的な重圧からつぶれる人も多い。
体力も必要ですが、精神的なタフさも必要。 話しがとても長くなりましたね。
スポンサードリンク
障害者手帳を持っている方ならば→
「ハローワークインターネットサービス」をご覧ください。
障害手帳を持っていない難聴者の方の就職活動ならば→
「難聴者の就職活動体験」をご覧ください。