当サイトにお越しいただいた方々は「道路交通事故での被害者」の方が多いのではないでしょうか。私は普段中小企業の方々からお話を聞く機会があり、その中で「道路交通事故」のケースでのお話をいただく機会もございます。
まず、中小企業の従業員の方が「自動車にはねられて入院した」という場合について考えてみましょう。
大企業の場合は、色々な諸問題や手続きなどをはねられた当事者に代わって代行してくれる制度もあるようです。いわゆる顧問弁護士や顧問医師、顧問保険会社その他の方々が迅速に事後処理をすすめてくれる場合もあるようです。
しかし、中小企業の場合は、そもそも「従業員が車にはねられる」という不測の事態などを想定いないことがほとんどだと思います。従業員の方が車にはねられて入院した、という報告を聞けば『大変だな。かわいそうに」と思った後で、「明日以降、彼あるいは彼女が担当している仕事の割り振りや段取りはどうしたら良いのだろう。」と頭をかかえる事業主、いわゆる経営者が多いのではないでしょうか。
そういう現実がありますので、自動車事故の被害にあった当事者の入院中や自宅療養中のフォロー体制などはなかなかとられていないのが実情です。
そこで、当サイトでは中小企業の従業員の立場の方が道路交通事故の被害者となった時に、どうすれば自分の身を守ることができるかどうかをご紹介します。また自動車事故被害者になった従業員の方を守るということは、ひいては中小企業の役員や会社を守ることにもなるのです。そういう視点で続きをご覧ください。
1.道路交通事故被害にあった従業員を守るために
実際に道路交通事故の被害者になった場合には、本人は病院又は自宅などである程度の期間は静養しているはずです。
病院や自宅などに加害者側の方が「お詫びの挨拶」にもくると思います。そのことについては、「大人の対応」で接すると良いのではないかと思います。
ただし、注意していただきたいのは「保険会社の方との示談交渉」です。この内容で大きく「損」をするケースもあります。詳細は「2任意保険会社(加害者側保険)に関する諸問題」でお伝えします。
また労災保険の「特別支給金」という制度の利用もご検討下さい。「特別支給金」のことについてのくわしい説明をご希望される方は
「TKGB社会保険労務士事務所」までお問い合わせください。
そして会社の事務手続きを担当する方にお願いしたいのは従業員方が道路交通事故などにあい、会社を休むことにより、様々な損害や休むことによる収入源額の証明書、つまり「休業損害証明書」「賞与減額証明書」の発行は内容もきちんと書いてあげてください。というのも、損害保険会社の方で「そらみてみろ、きちんと書いてないやないか。」ということで、本来ならばもらえるはずのお金がかなり少なくなる。損害保険会社が支払う保険金額が少なくなる、あるいは支払われない、というケースもあります。→企業の税務申告が雑だ(だらしない)と、従業員が不利益を被ることもあります。
2.任意保険会社(加害者側保険)に関する諸問題
道路交通事故の被害者に対して損害保険会社(加害者側任意保険会社)から示談交渉としての誘い文句として「任意保険基準の上限値をご提案しています。」「任意保険基準上限値の1.2倍です。」というような案内をうけることもあります。ただし、この場合の「任意保険基準額」はあくまでもその損害保険会社独自の基準額です。
過去にあった事例としては裁判で500万円以上の支払い判決が出たケースでその損害保険会社は「わが社の任意保険基準の上限値は5万円で、その1.2倍の6万円を出しますが、いかかでずか。」と案内をしていたようです。
しかし、実際には中小企業の従業員個人としては「いったいいくらが逸失利益や慰謝料として適正額なのか。」ということはなかなかわからないと思います。自動車にはねられるという経験は普通は一生に一度もない人の方が多いと思われますので…。
また、損害保険会社には「顧問弁護士」や「顧問医師」の方々もおられますので、そういう方々が直々に中小企業の従業員が入院している病室に来て「私は○○弁護士というものですが、今回の事故につきましては誠に申し訳なく思っております。少しでも早く今後の賠償問題などを解決することが被害者つまりあなたさまのためにもなると思い、加害者側からも依頼されてこの病室にやってまいりました。」というような言葉とお土産のフルーツでも持ってきて「上手」なお話をされたら、交渉ごとに対して素人の中小企業従業員のかたなどが、適正な相場もしらないで「ご自身の適正額」を要求することはかなりむずかしいのではないでしょうか。
よくインターネットで検索すると弁護士の先生方が「私が関与することで保険料が100倍に増えた」というPRも見つけることができます。確かにその弁護士の先生もすごいと思いますし、素晴らしいと思います。しかし、現実問題としては保険会社には「任意保険基準」という独自の基準額があるように裁判でもある程度の基準額があります。
ですから中小企業従業員の方が自動車にはねられた場合に保険会社から提示された保険金額が「安すぎる」と思った場合は安易に示談に応じない方が良いと思われます。さきほどの一例では裁判で500万円保険金額がもらうことができるのですが、そのうち200万円が裁判費用弁護士費用その他の費用でさっびかれて中小企業従業員の方の手元には300万円が残ることになります。最初に保険会社から提示されていた「任意保険基準上限値の1.2倍の6万円」とくらべてみても、裁判をする方が良いのではないかと私は思います。
ここで問題となるのが、「弁護士や裁判は費用が掛かる」というイメージです。確かに費用が掛かります。でも、今回の自動車交通事故の場合は、費用がかかることは見越したうえで、最終的に手元に残るお金のことを考えてどちらが良いかをご判断していただければと思います。
もし、中小企業従業員の立場である「あなた」が不幸にも自動車交通事故の被害者になってしまった場合はあなたのお知り合いの弁護士の先生にご相談ください。もし、お知り合いの弁護士の先生がいない場合は、078-779-2259の私までご連絡ください。専門の弁護士の先生をご紹介させていただきます。
3.自賠責保険についての考え方
自賠責保険の意味合いを簡単にお伝えすると損害の1階部分を補てんしてくれます。例えば保険金額100万円のうち40万円が自賠責保険から出るというイメージですね。ただし、自賠責保険は限度額が決められていますので、金額について多くは期待できません。
自賠責保険の一番大きな意味合いとしては「自賠責による後遺障害認定」があります。後々の手続きに絶対的な影響を及ぼす自賠責による後遺障害認定は裁判所もこの認定を支持する考えが基本となっていることが多いです。
この件でもあなたのお知り合いの弁護士の先生にご相談されることをおすすめします。
4.健康保険についての考え方
「私は被害者なんですよ。加害者が悪いのに、なぜ被害者である私が私の健康保険を使って治療しなければならないのですか?」
確かにおっしゃるとおりです。そこで健康保険を使う際のメリットをご紹介します。
・3割負担ですので、一例として100万円の治療費であったとしても30万円の負担で済みます。ということは保険会社が払う金額も30万円で済みますね。健康保険を使っていれば保険会社側も治療が長引いても、気持ちよく保険金額を支払ってくれることが多いです。また、自動車事故の被害者であったとしても、あなたに50%の過失割合があって、200万円の治療費の50%:50%ということで、保険会社から100万円もらってあなたかの自己負担が100万円だったとしても、健康保険を利用すれば3割負担ということで、あなたの自己負担は自由診療の100万円の自己負担ではなく30万円の自己負担となります。また高額療養費とのからみもありますので、健康保険を利用していれば現実問題として、中小企業従業員であるあなたが「完治」すねまで安心して治療をうけることができやすいというメリットがあります。
5.労災保険についての考え方
労災保険のメリットとしては「特別支給金」というプラスアルファをもらうことができることです。
その他にも細かい保険などもあるのですが、おおまかにチェックしていただきたい内容は以上の通りです。
わかりやすくまとめると、保険会社との交渉で納得がいかなければ裁判をしてください。お知り合いの弁護士にご相談ください。納得がいかないままの示談には応じないでください。
以上が
「TKGB社会保険労務士事務所」がおつきあいのある事業主様などからお問い合わせをいただいた際にお伝えさせていただいている内容です。