ご質問をいただきました。
過去問を1問1答形式で解いていますが、本試験と同じ択一形式で解いたほうが良いでしょうか。
回答させていただきます。
今回のご質問の意図は「五択一度に考えて比較しての○×判断をする。」という意味に私はとらえました。いわゆる「スピードを上げて問題を解く。」「問題を解くスピードをあげる練習をする。」と私はとらえました。
そういうとらえ方であれば私個人の見解としては「必要ない」と思っています。
私自身は、1問1答形式で、常に解いていました。そして私自身がかかわっている社会保険労務士試験受験生の方々にも、1問1答形式、つまりその問題文が正答肢なのか誤答肢なのかをきちんと判断しながら解く方法をおすすめしています。
そうしないと、択一形式で普段から解く癖をつけてしまうと、5つの問題文をざっと一通り最後まで読み流していくうちに、「あっ、ここの部分が明らかに間違っている」と判断したら、他の4つの問題文に関してはあまり深く考えません。せっかく過去問をやっているのにもったいないです。また、逆の解き方として、「比較考量」で「この問題の○×はわからないけれども、他の4つの選択肢が自信を持って○だから、これは×だろう。」
という消去法で私自身は解いてしまいます。
たしかに、社会保険労務士試験の本試験、つまり本番では、それは正しい解き方の1つです。
社会保険労務士試験の本試験ではいつもよりもはるかに緊張しているし、パニックになるような問題が1問や2問はあるし・・・、 と、普段では考えられないようなことが起こりますので、「どうしてもこの二つが残ったから最後はヤマカン2分の1!」などということも「有り」だと思います。
しかし、その時の最後の最後のヤマカンの確率を少しでも高めるために普段の勉強は普段の過去問を解くときには「1問1答」で考えて、完璧に「自分に納得させてこの答えを選んだのだ」というようにすべきだと私は考えます。でも、「本試験では択一は3時間半で70問、つまり350の選択文を読まなければいけない。スピード練習も必要なのでは・・・。」と思うのは、当然ですね。ましてや、普段の努力が大きい受験生の方ほど、本試験で後悔したくはないからこそ、そう思いますね。
そのためのスピード練習やパニック練習として「全国模試」を私は利用しました。私はTACと大原簿記専門学校の全国模試で計5回の実践練習をしました。 そのときに、選択試験ではどうしても、「3点ほしい」状況では、たとえば「健康保険法の選択問題のAとEは解答に自信がある。でも、残りのBCDは自信がない。しかし、CとDのどちらかには選択肢の16番が入るはずである。でも、どっちに入るか、どっちがどっちか自信がない。」という場合には、「ダブルマーク」として、CとDの両方に「16」のマークシート番号を塗りつぶすのです。ひとつは確実に誤答となりますが、確実に1つをとって、健康保険法で基準点の3点を確保しようとする方法です。
この方法は本試験で「この○○法の科目は絶対に補正(救済)が入るはずだ。だから、2点狙いでいこう。Aは自信があるがBCDEの4つはさっぱりである。でも、選択肢12番がどれかに入ると思っている。」というときには、BCDEの全てに12のマークをして「2点確保」ねらいという作戦もできます。
しかし、「ダブルマーク」や「残り全て同じマーク」はそれだけ自分自身の今までの勉強に自信がないとできません。「ねらって○点」という究極の方法ですから・・・。
純粋に試験問題を解くだけならば、本来は「5点満点や4点」の可能性を追求すべきだと思います。
でも、社会保険労務士試験の本番では選択試験では3点未満はなるべくつくらないようにしなければいけないのです。今のところの社会保険労務士試験の選択試験の合格基準点は各科目5点中の3点ですから・・・。
本試験の緊張状態では「CとD」には違う選択肢「BCDEにはそれぞれ違う選択肢」と無難にまとめて、あとから「あ〜、同じマークしとけば、良かったぁ〜。」といって選択試験のたった1科目が2点になったために「足切り」で不合格となった社会保険労務士試験受験生の話を私は何回か聞いたことがあります。
そして、択一試験でも、普段から比較考量で解く癖をつけているということは、1問1答のように「これはこういう根拠で正答肢である、あるいは誤答肢である。」ときっちりと言い切るだけの自信を持っていないために、「え〜AもBもCもDも○に思えてしまうよぉ。 ×はEだけじゃんかぁ。問題文は○を1つ選びなさい、と聞いてきているのにこれじゃう困るよ。比較考量以前の問題だよぅ。」となりかねません。
以上のなさけない例は全て社会保険労務士試験勉強に取り組んだ初期の頃の私自身の姿です。
普段の勉強は「1問1答」であるべきだと私は考えます。その1問1答のレベルが「ツボにハマッタ時には九九レベル」つまり「ニニンガシ、ハックナナジュウニ、ゴハシジュウ」などというように、問題文を読み終わった瞬間「この問題文は○だ。次っ!」「この問題文は△△の部分が□□になっていないから×だ。次っ!」と即答できるレベルにすることが大切だと思います。
本試験ではすべての問題を「九九状態=即答状態」にすることは、「絶対に無理」だと私はわかっています。
しかし、社会保険労務士試験に合格するためには「九九レベル=即答レベル」の問題パターンを、その人のレベルなりに増やしていかなければならない、と私は思っています。
増やせば増やすほど、択一試験では「五択」といっても、レベルが高い人には「はなから三択程度」の問題なのです。実際に時間をかけて考えるのは「BとDとEの中からひとつ選ぶだけである。AとCは端(はな)から問題外」というレベルならば、比較的余裕をもって時間内に問題をとくことができるでしょうし、合格する可能性が高いと思います。
私は普段の1問1答で勉強するときには、そこまで意識を高めて勉強するようにしていました。
そうでないと、合格する自信がなかったからです。
そして、本試験では、どうしても「五択ともに考えなければいけない難問、奇問」が存在したことがあります。
たとえば、2010年の第42回社会保険労務士試験の午後の択一試験では「一般常識問7は正解無し、健康保険法問2は正解無し、国民年金法問10は正解無し」の3問は実際に本試験の心理状態でその問題をみていたら、普段から比較考量で解いていた人は「比較できない」とパニックになるはずです。
1問1答形式で解いている人は「そのときに正確な比較考量してこちらのほうが良い○に近い、あるいはより×に近い」と判断して、「早く次の問題に移動」できるはずです。
これらの「正解無し」問題に関しては、いくら考えても、「正解がない」のだから、「自信を持って早く次の問題にうつった人が勝ち」なのです。
こういう出題ミスの場合は、社会保険労務士試験受験生全員に得点が与えられるのですから・・・。
しかし、問題を解いているときには「まさか正解無し」とは、思いません。だからこそいつまでも「解答が出来ない」と悩んで時間をつぶす人は、残りの簡単な問題で「時間切れ」という悲しい結果になる可能性が高くなってきます。
そうならないためにも、「正解無し」という予期できない問題が今後の社会保険労務士試験本番でまた出たとしても、「自信を持って次っ!」と移動できる実力をつけるべきだと私は考えます。
過去にも何年か、つまり何回か「正解無し」が出題されたこと事実としてありますし、今後も社会保険労務士試験には「正解無し」が出題される可能性は「有る」と私は考えています。人間が作る問題ですから、ミスがあっても仕方がないとも私は考えています。
そのときに「自信を持って次ぎっ!」という行動ができる人が、全体の時間配分を見たら、あとから合格発表の時に振り返ってみれば「合格者になる可能性が高い」のではないかとも私は考えます。
「あなた」自身が社会保険労務士試験合格に少しでも近づくためにも、「1問1答」形式で普段から過去問を勉強をすすめることを私はおすすめします。 そして、普段から「五択で考えるのは、比較考量(他の選択肢と比較してこっちのほうが正解っぽいからこっちを選ぼう)で解答を出すのは逃げの方法であり、本番はパニック状態になって、自分がイメージしている自分の得点能力よりも、ずっと下がる可能性があるから、少しでも確実に得点できる問題を増やしていこう。そのためには、1問1答形式で最後までやろう。比較考量やスピード練習、時間配分などは全国模試でやろう。」と考えて私は実行するようにしました。この方法を「あなた」にもおすすめします。
社会保険労務士試験の本試験では信じられないことが起こる可能性があるとも私は思っています。
でも、信じられないことやパニック状態などになっても、一番大切なことは「あなた」が社会保険労務士試験に合格することだと私は考えています。
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